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日記後継ブログー2009/7/1 start 日常+雑多メイン。更新停止中
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 筆ではなく手が止まらない…。

 原作でもこんな感じなのがいけないんだと思います…。
 ちくしょう、キーワードが! キーワードが!

 二枚目三枚目、寒い所、母親、2人だけの呼び名。
 コンビとカプの境界線が分からなくなってきた。


 あの力はなんだったんだろう。
 ウニのような髪型をしたサングラスの男は、ロックブレイクで出した岩をいとも簡単に砕いてしまった。
 素手で。
 金髪の人懐っこそうな顔の男は、サンダーブレイドを吸収してしまった。さらに詠唱なしで電撃を繰り出した。
 グローブを嵌めていたとは言え素手で。
「見たところエクスフィアは着けてないしな~」
「見えないところにあるのかもよ?」
「ん…」
 あの2人は軽装だったが、服の下にあれば分からない。ゼロスの言葉にそうかと頷いてロイドはそっと気配をうかがった。
 常人ならざるスピードと力を持つ2人組。たまたま見たときは金髪の男がウニ頭の男に抱きついていて、ぎょっとしたけれど。
「ハニ~」
 後ろから抱きつくゼロスにため息をつきつつ、他にもいるんだとちょっと嬉しくなったりもしていた。
「ハニーって言うな」
 つかの間の休息に安心しきっていたからか。ゼロスは疲れていたからなのか。
『あ』
 今度はこちらが見られてしまう番だった。


 気がつけば、フラノールにいた。あの時と同じように、ひらひらと雪が待っている。
 隣には長い赤い髪の彼がいる。ずっと正面を見据えたままぽつりぽつりと、あの時の言葉を変わらずに紡ぐ。
 答えは変わらない。思ったままを伝えれば苦笑と微笑の交えた顔で「中に入ろう」と促される。
 決戦が控えている。これは夢なのか。それにしてはやけに感触がリアルだ。
 あの時に感じた想い。彼も想ってくれているのか。
 この先が分かっていても、彼だから疑いつつも奥底では信じていた。
 つ、とロイドの瞳から静かに涙が落ちる。ポタリと落ちるとガラスが割れる音がした。

***

「夢は、見れたかよ?」
 蛮はくいっとサングラスを押し上げた。
 呆けるロイドとしてやられたと口端を上げるゼロス。
「さって、大人しくしてね。俺たち、どーしても君達と話があるんだ!」
 じゃらん、と銀次はバックルを構える。抵抗すれば、と万が一に備えてだ。

 路地裏の一角に4人は落ち着いた。
「話す前に名前を教えてもらおうか」
「まずは名乗ったらどーなんだ? 名乗らないやつに名乗る気なんかねーよ」
 仁王立ちする蛮に、瓦礫に腰を下ろしたロイドが立ち上がって見上げる。意外に身長が近い。
 壁にもたれて腕を組んでいるゼロスがくつくつと笑った。
「オレはねー天野銀次! こっちは美堂蛮ちゃん!」
 にこにこと笑う銀次に「おい」と蛮は低い声を出す。
「だって悪者に見えないよ? それに、ジャンクキッズが先に手を出したんだし…ふかこうりょくじゃない?」
「お前、絶対ひらがなで言っただろ…」
 あっけに取られるロイドの顔を見て、今度はゼロスが苦笑しつつ息を吐いた。
「お前いい奴だな! オレはロイド。ロイド・アーヴィング。で、こっちが…」
「ロイドく~ん? 自己紹介くらいやらせてくれてもいーんじゃない?」
 そこまで言って欲しいとは頼んでいないのにやるのが、ロイドらしい。綺麗なお姉さんであれば嬉々として語るが男2人。構うこともないだろう。
「俺さまはゼロス・ワイルダー。まっ、仲良くやろうや~」
 けらけらと笑う彼に、蛮は表情を崩さずに見据える。それに気づき、ゼロスも口角を上げた。
 2人のピリピリとした空気もおかまいなしに、銀次は持ち前の明るさとロイドは持ち前の懐こさに和気藹々としていた。

***

 ロイドとゼロスが落ちた穴は無限城の「エラー」により、次空間が乱れこちらの世界と繋がってしまったということだ。2人の波長をこちらで合わせれば返すことができるらしい。
 携帯の電源を切り、蛮は胸ポケットにしまった。
「じゃあ俺ら帰れるんだな。よかった」
「よかったね。それにしてもびっくりした~ロイドってゼロスと仲いいんだ?」
「ちっ、違ぇーよ!」
 銀次の言葉にロイドは顔を赤くする。抱きつかれているところを見られて恥ずかしいというのに、抱きつく側はそうでもないのだろうか。
「ええ~そりゃねーよハニー…」
「だからっ、ハニーって言うな!」
 残念そうなゼロスにロイドのツッコミが入る。くすくすと銀次は笑い、立ったままの蛮を見上げた。
「最初の頃の俺らみたいだね、蛮ちゃん」
「…ま、そうだな」
 視線をそらしたまま答えた蛮に、ゼロスがにやりと笑った。
「ん~何、なんだか面白そうじゃないのよ。何があったのさ蛮ちゃん?」
「ちゃん付けはやめろ、赤髪軽薄クルクルパーマ野郎!!」
 真っ赤になる蛮に銀次は笑い、ロイドも珍しげに見て、仕掛けた本人はニヤニヤとしている。
「クルクルパーマはないんじゃないの~? 世の中のハニーが嘆く!」
「アホか」
 しゅぼっ、と煙草に火を点ける蛮にいきなり水が降りかかった。
「アクアエッジ。未成年がたばこたぁ、関心しないね~」
「てめっ…!」
 ロイドは銀次に目配せをする。もうあの2人は放っておくしかないだろう。
「オレと蛮ちゃんは同い年で、18歳なんだ」
「へっ、オレの1個上!?」
 勢いよくロイドは2人の顔を見比べた。
 銀次はまだ幼さが残り、口調も外見にあっている。逆に蛮は口は悪いものの、顔立ちは大人のそれでクールだ。この正反対の2人が同じ年とは到底思えない。
「まだ少年じゃねーか。でひゃっひゃひゃ、俺さまに勝とうなんざ早いな~」
「んだと、この桃色クルクルアホ!!」
「あ、蛮ちゃんキレた。ね、ゼロスっていくつ? はたち?」
「いい加減にしろよな…あのアホ神子。あいつは22だよ」
 蛮と銀次がそれを聞いても驚かなかったことに、ロイドは逆に驚いてしまった。
(え、なに、こっちの世界ってあんなのがたくさんいるのか!?)
 その顔を見たゼロスが大きく息を吐く。
「ロイド。何考えてるのか大体想像つくけど、絶対違うから、ソレ」
 
***

 マクベスが用意した部屋は天井も壁も何もかも真っ白だった。
「ほぇー、まるでペンキ塗りたてみたい」
 しゅんっと中央に少年王の画像が現れる。
<では中央へ来ていただけますか。時空間とお2人の波長を合わせます>
「じくうかん? 波長? なんだそりゃ」
 意味が分からない、と首を傾げるロイドにマクベスと蛮は頭を抱え、ゼロスはそっと後ろから抱きついた。
「っだ、くっつくなってーの!」
「ここにもバカがいたか…」
<美堂くん、それは言わない方が…>
 それほど専門的な言葉は使ってないはずだ。現に、銀次が何も聞いてこない。それがいい証拠。
「こいつのことは無視していーから、始めてちょーだいな」
 ロイドに抱きついたままゼロスは促す。淡く白い光が2人を包んだ。
 浮く感触が、する。
<帰る世界のことだけを考えていてください。まったく違うことを思ってしまえば二度と帰れなくなります>
「…わかった」
「りょ~かい。んじゃーなー」
 こくりと頷くロイドと、ひらひらと手を振るゼロスは光に包まれ――消えた。


 終わった、とマクベスは額にかけていたゴーグルを外す。
 画面越しに、蛮が請求してきているがそれを銀次が抑えている。
「原因は、なんだったのです?」
「石だってさ。見たことのない材質で出来ていて、それを彼らに奪われたって話だよ」
 朔羅の問いに苦笑しつつ答える。ジャンクキッズが持っていた光る鉱石。金目の物を貰おうとロイドとゼロスに襲いかかったが返り討ちに合い、さらには2人がそれを見るや否や取って行ってしまったらしい。
<あの石、2人の世界のものらしいから俺らは失敗だね>
<失敗なものか! ちくしょーあいつらから依頼料貰えば…!>
 わめく蛮にマクベスも朔羅も苦笑しつつ、銀次に笑いかければ彼は同じ顔を返す。
 こちらに来るよう伝言を残し、少年王は電源を落とした。

***

「ねえ蛮ちゃん。なんの邪眼かけたの?」
「さぁてね」
「オレには泣いていたように見えたけど…ねえ、何?」
「銀次」
 とん、と蛮は口元を人差し指で差した。
「…んっ」
「一番大切な奴と通じ合ったときの思い出」
 よくできましたとばかりに銀次の頭をかきむしる蛮は早口に言った。
 よくわからない、と銀次はされるがまま。だが、あの2人は言い合いつつもお互いを信頼している。それだけは分かった。
「そっか」
 だからそう答えた。

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